友禅染が現在のように、合成染料を使って挿友禅をするようになったのは明治時代に入ってからのことです。それ以前は顔料、植物染料を使い、友禅染の特徴であるこまかい模様を表現してゆく「部分的彩色法」を確立するために、さまざまの工夫がされていました。そのひとつに「染分け」があります。これは模様の部分を伏糊で防染するか、絞りで防染して染分けるか、いずれかの方法で行われていました。現在の地染の部分にあたるわけですが、絞り防染方法は辻が花染が盛んに行われた桃山時代から続く技術です。
次に染分けによって防染された生地の部分に、さらに糸目糊などで防染し、模様を描いてゆくため「彩色」を行っています。これが現在の挿友禅にあたります。



現在、手描友禅染と呼んでいるものには「多くの技法・種類がありますが、大きく分けると3種類になります。一つはもっとも基本的で、江戸時代より続いている「本友禅」です。普通、糸目友禅とか挿伏友禅と呼んでいるもので、模様の輪郭に糸目状の白い生地の残っているのが特徴です。


でんぷん糊で置かれた糸目に地入れを行い、挿友禅をし、蒸しで染料を染着させ、模様部分を伏糊置してから地色を染め、最後に蒸し・水元で伏糊を洗い流します。最も古くから伝承されている技法です。


でんぷん糊のかわりにゴム糊で糸目を置き、模様の部分を伏糊置し、地色を引いて蒸し・水元で伏糊を洗い流し、そのあと挿友禅を行い、蒸し・水元を行います。


この技法は、ゴム糸目糊が普及する昭和の初めごろまで広く行われていた技法です。模様の輪郭を糊糸目で置き、その内側を伏糊置し、地色を引いてから蒸し・水元を行って、模様を白抜きで仕上げます。その後下絵を青花で描き再び糊糸目を置いて模様のなかを挿友禅します。


堰出糊で模様の外側を伏せ、内側に友禅をする技法です。糸目糊技法を使わないため、糸目跡が残らないのが特徴です。また染料が防染糊をこえて浸み出す心配ががないので、思い切ったぼかし染表現をするのに向いています。


まき糊を模様部分撒いて防染し、友禅をする技法です。


表現はまき糊友禅と似ていますが、まったく異なったもので、まき糊の代りにパラフィンやダンマル液、ゴム糊などで防染し、細かい点描表現を行います。


糊の厚みに差をつけて置くことによって防染力の差をつくり、染料液の浸透度合を変化させ半防染効果を表現します。


生地にタラガントゴム液、アルギン酸ナトリウムなどの糊料を引き、刷毛や筆でぼかし模様を直接描いてゆく技法です。その後、乾燥させて彩色を施します。


染料・顔料と各種の糊料を混ぜて生地に直接模様を描いてゆく技法です。


あぶりがき焙描友禅ともいいますが、豆地入れをした模様を描いてゆく技法です。生地に染料・顔料と豆汁を混ぜて火であぶりながら直接描いてゆく技法です。