糊置による防染の成立は、資料で確認できるところでは、室町時代になります。でんぷん糊を防染剤とし、型紙、筒で糊置されていたと思われます。


糸目糊置の方法も、筒による筒糊置と、楊子を使った楊子糊置が、併行して行われ明治の終わり頃まで続いていた様です。この楊子糊置は、粒子の細かいでんぷん糊を柳箸くらいの長さの楊子の先につけ、細く糸状に落ちる糊を生地の上に置いていくもので、今ではほとんど行われておらず、詳細は分かりません。筒糊置に使われた初期の筒は、和紙に桐油を引いた紙で、使う度に巻き上げていましたが、江戸時代末に現在使われているような、より強い柿の渋を和紙に塗って固めた円錐形の筒が登場しました。明治に入ると、化学染料の普及と共にそれを糊に混ぜた写し糊が考案され、また昭和になって、でんぷん糊とは全く違うゴム糊が発明されます。水では流れ落ちないゴム糊の登場で、模様部分の伏せ糊だけを落とすことが出来る様になり、地色を染めた後で、挿し友禅が簡単に出来る様になりました。現在は、もち粉を主体としたでんぷん糊を用いた赤糸目糊置とゴム糊置が行われています。



主原料のもち米粉、糠(白糠、微塵糠)を篩に通す。もち米粉と糠の分量は、だいたい7対3が標準
米粉:約500CC
白糠:150CC
微塵糠:50CC
熱湯を少しづつ加えていき、粉と糠をねりこんでちょうど耳たぶくらいにやわらかくする。次に、もち米粉薄く引いた板に糊をのせ、棒状に延ばし、その両端をくっつけて、ドーナツ状にします。この糊を木綿布にくるんで、蒸しにかけます。約2〜3時間強力に蒸す必要があります。

次に石灰と蘇芳の煎汁を用意します。すり鉢で練った糊に石灰をいれますと、糊の粘りが強まり、少し黄味に代わってきます。続いて蘇芳を加え、練っていきます。こうして糊が暗赤色に発色したとき、石灰と蘇芳の量が適量になった状態です。

このあと、粘度を調整し木綿の布
(サラシ布)で糊を濾過します。これは、糊づくりの間に入った空気を抜くためと、糊の中に混入している蘇芳のくずなどを取り除くために行います。



糊置とは、青花で描かれた下絵をでんぷん糊やゴム糊などの防染剤に置き換えていく工程のことです。糊置の技術には、模様を糊による線で描いていく糸目糊置、模様全体を糊で伏せて防染をする伏糊置、細かく砕いた乾燥した糊を生地に撒くまき糊、糊に染料を混ぜて糸目を引く写し糊等があります。



和紙に柿の渋を塗って固めた円錐状の筒の先に真鍮製の先金をつけ、そこから筒の中に入れた糊を絞り出し、下絵の線に合わせて糊を置いて、模様を描いてゆきます。糊にはもち粉、白糠、微塵糠を練りこみ、蒸し上げ、石灰、蘇芳を加えた赤糸目糊と、板ゴムを溶剤に溶かし、ダンマル、群青等を加えたゴム糊があります。




地色の引染の前に、糸目糊を置いた模様の中を、ネバ糊と呼ばれるでんぷん糊で伏せて防染します。




まき糊はでんぷん糊を乾燥させ、細かく砕いたもので、濡れた生地に撒いて密着させ、防染と同時に模様を表現します。



糊に染料液を混ぜ、防染と同時に糊に混入した色による染色をする技法で、手描友禅では主に色糸目として使われています。