蒸屋(むしや)と呼ばれる工房にて、引染(ひきぞめ)や挿し友禅(さしゆうぜん)で反物に色を染めた後に行う加工。その内容としては、主に以下の三つの工程に分かれる。「蒸(むし)加工」・「水元(みずもと)加工」・「化学精洗(かがくせいせん)加工」



引染や挿し友禅を行ったあとの反物を蒸箱(むしばこ)という釜を使い、蒸気で約30分〜180分間蒸す。蒸箱は昭和40年ごろまでは杉の木で作られていたが、耐久性の問題などにより現在ではステンレス製のものが主流になっている。(約2年で木が炭化してしまうので蒸箱の建て替えが必要となり、コストが掛かりすぎてしまうため)蒸気の熱と水分により、色がより鮮やかに発色し、染料が生地に染着(定着)して色落ちしにくくなるという効果を得ることができる。なお、反物を蒸す時間については主に色の濃さで判断し、基本的には濃い色ほど長時間蒸さなければならない。また、基本的に常圧(1気圧)で100度の温度にて蒸加工を行うが、生地によっては圧力釜を使用して温度を100〜120度に上げて蒸を行うこともある。




いわゆる「友禅流し」であり、昭和40年代中頃までは鴨川・堀川・桂川といった自然の河川で反物を流して洗っていた。現在は自然の河川で反物を洗うことを環境汚染の問題などにより禁止されており、主に工房内で水槽や自動洗浄機を使って洗っている。また、人工の川を作り、そこに地下水を流して「友禅流し」そのものを再現して加工を行っている工房もある。蒸工程によって染着しきらなかった余分な染料や、糊置き加工にて施された「伏せ糊(原料は餅米)」を洗い流す。反物を「水」で洗って「元」の姿に戻す…という意味で「水元(みずもと)」と呼ばれている。




業界内では「水洗」というと、化学精洗加工のことを指す。有機溶剤(主にテトラクロロエチレン)を使ってローケツ染めで使用されている「蝋(パラフィン)」や、糊置き加工にて施された「ゴム糊」を洗い落とす。